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2006年11月 6日 (月)

NHKスペシャル選「サイボーグ技術が人類を変える」立花隆

たまたまテレビチャンネルを変えていたらやっていたNHKスペシャル選「サイボーグ技術が人類を変える」。目が釘付けになった。

映画ターミネーターなどで出てくるサイボーグ。近い将来現実化するかも……と絵空事のように高を括っていた技術。映画のシュワルツネッガー、ウソウソと楽しんでいた。脳が解明されていないのに、義手義足が思い通りに動くわけがない。まして強靱な義手が人間の腕や手と同じような働きをするわけがない。ロボットならわかる……。SFの世界、と安穏としていた。

この番組、昨年秋、放映らしい。まったく知らなかった。立花隆さんが、アメリカなどを取材して、最新のサイボーグ技術をレポートしたもの。

アメリカの国策、サイボーグ技術は多大の国防費を投入して、すでに実用段階に入っていた。5年前にはなかった技術が超速の進歩で、現実の技術として医療や軍事に採用されている。

感電事故で両腕を失ったアメリカ人が、立花さんを迎える。確かに両腕がない。義手を付けると、自由に動かせる。掃除機持って掃除する。胸のあたりで、脳からの信号を受け取り、義手に伝え、腕や手を動かしていた。立花さんが胸の辺りを触ると、そこが腕時計をはめるところ、と語る。腕や手の神経を胸で感じ、それを義手に伝える。脳の命令が人口の腕や手に伝わる。ウソじゃないかな、と一瞬目を疑う。

四肢が動かず寝たっきりアメリカ人が、ベッドに横たわっている。目の前にあるパソコンの画面のマウスポインタを脳で動かし、テレビチャンネルを変えている。マウスを使っていない。画面を見て、考えたとおりにマウスポインタが動く。確か似たようなSF映画があった。犯罪捜査に協力した人が脳だけで犯人を追い詰める。あれもSFさ、と楽しんでいた。

パーキンソン病で手足が震え、介護の人の支えがないと、歩けない人。脳のある部分に電極を入れると刺激され、正常に歩けるようになる。日本で手術した場面を映していた。3か月後には普通に歩ける。アメリカでは、日常生活をしている人の映像。電源を切ると、元の震える状態に戻る。見ていて怖くなった立花さんも、もう分かった、電源を入れて! と催促する。新しい人間の誕生だと奥さんが語っていた。

脳に小さい電極を埋められたネズミが、迷路を歩く。パソコンの右に曲がれという指示で右に、左へで左に曲がる。脳から出る信号を解析し、逆にパソコンから信号を作り出して指示している。人間への応用も進んでいる。

アメリカ国防省では、手足の力を10倍にしたパワースーツを着けたサイボーグ兵士の研究が具体的に進んでいる。人間の脳と強靱な肉体を持ったサイボーグが今や誕生しようとしている。記憶を司る海馬と同じチップを作って、パソコンで作った記憶を埋め込むこともできるらしい。浦沢直樹のマンガ「PLUTO」や瀬名秀明の小説の世界が、目の前にある。ただただ怖かった。怖ろしい世界が近付いている。

今頃見て驚いているのも1年遅れだが、情報公開が進む現代。核爆弾が発明され人間社会を変えてしまったときは、情報公開がされていなかった。使うもの勝ちの世界で、広島・長崎に落とされた。いまサイボーグ技術の進展は、一部情報が公開されている。難病などに役立つ最高の技術が、一方で軍事技術としてさらに進展している。たまたま政府の医療費削減で医療難民となった寝たきりのお年寄りのニュース特集を見ていたこともあるが、画期的な脳科学の進歩で救われる多くの人がいるはず。一方で、アメリカ国防省のようにサイボーグ技術で世界の覇権を握ろうとしている。

どのように議論していいか、わからない。ただ、アメリカ国策のまま、原爆と同じように軍事技術として進歩してしまったら……、ロボットマンガではあるが浦沢直樹「PLUTO」の世界はすぐそこか! と怯えてしまう。でも、科学技術の進歩は、人間、サイボーグ、ロボットの共存へと向かうのだろう。それも、僕らが生きている、ほんの数年か数十年で。

番組の最後に、倫理的なことを問われた法学者、答えられる問題ではない、と。確かに1個人が回答できるような問題ではない。新しい人間を作り出しているのだから。

これを書いている間も、そんなのウソだって疑っている。冗談でしたっていってよ、立花さん。

11月 6, 2006 パソコン・インターネット, 映画・テレビ |

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